ZEH水準 × 床下エアコン / 未来の介護を見据えた 今を愉しむ夫婦の終の住処

ZEH水準 × 床下エアコン / 未来の介護を見据えた 今を愉しむ夫婦の終の住処

文教都市として人気のさいたま市浦和区・常盤での木のマンションリノベーション。

今回のテーマは「性能向上」と「将来への備え」。 住戸の直下が駐車場という、マンション特有の厳しい「底冷え」に悩まされていた住環境を、徹底した断熱施工によって、冬でも床が暖かい、安定した温熱環境へと再生した。

また、直近までご両親の介護に寄り添ってこられたクライアントの、「近い将来の自分たちの暮らしも、この家で心地よく楽しみたい」という想いを形にした。

この住戸の特徴であるR形状の窓辺にはソファーを造作。 断熱によって寒さを克服したからこそ実現したこの場所は、家族や友人が集い、自然と会話が生まれる東屋のような憩いの場となった。

また車椅子での移動も考慮した動線や、廊下と洗面の両方からアクセスできるトイレなど、バリアフリーを無機質なものではなく木をふんだんに使った上質なデザインとなるよう計画。

「今の快適さ」が「将来の安心」へとつながる、これからの終の住処のあり方を提示するリノベーション事例となっている。

工事の概要

地域 埼玉県さいたま市
築年数(完工時) 築30年
延床面積 75㎡
家族構成 夫婦ふたり暮らし
断熱等級 6
UA値 0.39w/㎡・K
エネルギー消費性能 BEI=0.75(削減率25%)
ZEH水準 達成(BELS評価取得)

LDK空間・書斎

北東向きのため日差しが限られ、さらに住戸の直下が駐車場、周囲をピロティとエレベーターに囲まれた、極めて過酷な温熱環境であった。
この「躯体から伝わる底冷え」の対策として、床・天井・壁への全面断熱施工に加えて、床下エアコンを設置し「全面床暖房」を実現。
かつては寒さで敬遠されていた、家を象徴するR型の窓辺は、午前中の柔らかな光を楽しめる快適な居場所へと生まれ変わった。

キッチンは2列型とし、シンク側に造作ダイニングテーブルを一体化。ダイニングキッチンをコンパクトにまとめることで、ゆとりのあるリビングを生み出すことができた。冷蔵庫・家電タワーから水回り、そして廊下へ抜ける回遊動線により、日々の家事がスムーズとなる。

隣接する書斎には膨大な蔵書を収める本棚を造作。大梁の低さを生かした木のトンネルやルーバーで仕切ることにより、家族の気配を感じつつもゆるやかに領域が分かれ、夫婦の適度な距離感を保った空間構成とした。

洗面・お風呂・トイレ

水回りは、キッチンから廊下へと抜ける回遊動線上に集約。
最大の特徴は、洗面室と廊下の両方からアクセスできる「2WAY動線のトイレ」。将来介助が必要になった際には、引き戸を全開にすることで介助者の作業スペースとして活用することができる。
足元には断熱性能に優れた炭化コルクを採用し、ヒートショックを防ぐ柔らかな足触りを保つ。
さらに枠ごと取り外せる浴室扉を採用するなど、「将来への備え」が安心へとつながる。

玄関・廊下

エレベーターシャフトに隣接し、冷気が伝わりやすい位置にある玄関。
徹底した断熱施工に加え、玄関ドア部分には断熱ブラインドを設置した。
将来の車椅子利用も見据え、土間空間はゆとりを持たせた広さに。さらに壁面の大きな鏡が空間を広く見せている。
廊下には節がない美しい木目の杉板を贅沢に使用。ガラスの欄間越しに外からの柔らかい光が届き、明るく開放感のある玄関・廊下となった。

寝室・クローゼット(床下エアコン)

住戸の北西部分は、杉板張りの壁とガラスの欄間で仕切った一つの大空間に。可動家具を配置することで「ご主人の寝室」「奥様の寝室」「クローゼット」と分けている。将来の使い方の変化に合わせ、家具を動かすことで間取りを再編できる可変性を備えている。
欄間にガラスを採用したことで天井がひと続きに視界が抜け、空気も光も通り抜ける軽やかな空間を実現している。

クローゼットの床下には家庭用壁掛けエアコンを格納。ここから送り出された空気が床下全体と壁・天井へも効率よく行き渡り、冬場でも全方位から輻射熱で暖まる「全室床暖房」の状態を実現した。

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