1階の温湿度環境を整えた 家族5人の住まい
都心のベッドタウンで、緑豊かな練馬区下石神井。
3人のお子さんと暮らす子育て世代の住まいのマンションリノベーション。
1階ながら周囲の地盤より低い位置にあり、実質地下1階に相当する住戸であった。
冬は過去類を見ないほど厳しい底冷えがあり、
夏は湿気がこもりやすい環境に悩まれていた。
そこで、冬の底冷えを解消させるための6面断熱と全室空調システム、
また夏場の湿気対策としてエアコンまで給気を取り込み結露させてドライな空気を住戸に送るという、新しい仕組みに挑戦した。
ご夫婦とお子さん3人それぞれの居場所を作りながら、家族が自然と集えるLDKを配置。
暮らしの段階に合わせて住まいも柔軟に変えられるよう、
可動できる収納家具で可変性を持たせた。
リビング・ダイニングキッチン・小上がり和室
南側には貴重な陽だまりである大きなテラスがあるが、以前は地階に流れ込む冷気でとても開けられないほど寒かった。
二重窓の設置と、床・天井・壁の6面にウレタン吹付断熱を施して寒さを軽減。
ふた部屋に分断されていた南側は一つの大きな空間とし、窓枠を繋げて大きな開口のように見せた。
この取り組みにより、大きなテラスを取り込んだ開放的なLDK空間を実現。
リビングのソファ、ダイニング、小上がり畳と、家族が座れる場所をいくつも作り、
仲の良い家族が自然とLDKに集えるよう計画していった。
小上がり畳は昼はベンチのように座ることができ、夜は母親の寝室となる。
畳下部は収納として限りある空間に幾つもの役割を持たせている。
洋室(子ども室1)・ウォークインクローゼット・書斎
廊下側には、洋室(子ども室1)・ウォークインクローゼットと、独立した書斎を配置。
洋室とウォークインクローゼットは可動家具で仕切ることができ、家族のライフスタイルに合わせて可変性を持たせている。
ウォークインクローゼット側の天井には全室空調のエアコンを格納。
そこから住戸内各所へ冷暖房を送れるようにダクトを回している。
北側の書斎は地下一階相当の中庭に面しており、夏には不快な湿気が給気口から入り続けていた。
その湿気対策として、給気口からの取込空気をダクトで全室空調のエアコンまで引っ張り、エアコンで冷やして結露した水分はドレン管で排出。ドライになった冷気を室内に回すという仕組みにした。
書斎上部は欄間的な開口を設け、空気が通り抜けるようにしている。
玄関
玄関戸から入ってくる冷気を閉じ込めるために、土間空間とメイン空間の間に断熱戸を設置し風除室のようにした。
正面のシューズクロークは5人家族の靴が収納可能な大容量。暖簾でゆるく仕切る。
奥行きを感じられるよう壁の上部は抜けさせ、広く張った小幅板風羽目板で空間を繋げている。
洋室(子ども室2.3)
LDK空間テレビボード側にある躯体壁の奥に、凸型に躯体壁に囲まれた部屋が配置されている。
元々和室だったこの部屋は、可動家具(デスク・洋服掛け)で2つに仕切り、子ども2人の部屋とした。
こちらもライフスタイルに合わせて可変性を持たせている。
ベッドは置かず、畳むとソファになるマットレスを使用するというソフト面の工夫で、家族5人それぞれの寝床を確保した。