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【谷塚の家】どこでもワークスペースな住まい

駅近であり、実家が同じマンションにある、クリエティブな仕事をする30代夫婦の暮らしを作るリノベーションである。

最上階で大きなバルコニーがある作りだが、東西南北四面が外皮壁となり、さらに南側は隣のマンションが採光を遮る状態となるため、冬は15時近くになってやっと西日が入る程度で、厳寒となることが推測できた。
また夏は天井からの日射と西日でやはり大きな影響を受けることが推測できる。
さらに四面に窓があるため、家具の置き場や収納位置は中央部に配置せざるを得ないこと、特にバルコニー側の窓は全て床から30センチ上がった位置にあり、どうにも使い勝手が悪い状況であった。
この環境をまず改善するとともに、逆に窓を活かす設計デザインを試みた。

断熱層を最上階仕様とし、バルコニー側窓を活かして窓枠一体の家具を設置することで、中途半端な高さを利用したTV台になり、窓を開けて外を感じるベンチにもなり、さらに本棚も一体化させることでリビングをすっきりとさせた。
また中央に位置する大梁はダイニングキッチンとリビングを視覚的に分ける象徴としてデザインし、灰墨モルタルで仕上げた。
ダイニングには大梁を目立たなくするため、奥行きを感じるルーバー天井とし、ルイスポールセン・アヴァーブ(ペンダント照明)で光を反射させることで彩った。
キッチンはオリジナルデザインで、間接照明で下から照らすようにして晩酌を大人の雰囲気で楽しめるようにした。
リビングからサブ導線として玄関横の収納部屋と繋げ、その導線上にメインのワークスペースと、立って作業するサブワークスペースを設置。
窓の多さを利用して、窓枠カウンターがワークスペースとなるように造作カウンターと電源を設置して、在宅ワークが飽きないように、さらにクリエティブなアイデアが生まれるようにと、暮らし方のコンセプトを提案した。

在宅ワーク時代が3年近く経ち、毎日の家での仕事に『飽きない工夫』が必要になってきていると、お施主さんからのご相談があった。
今回の夫婦二人がどこでもワークできる住まいを設計したことは、これからの新しい暮らしの指標になるのかもしれないと学んだリノベーションであった。
  • 築年数 26年
  • 家族構成 30代夫婦二人
  • 面積 60,68㎡
  • 構造 最上階 外皮壁四面