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マンションの結露問題を考える

寒い季節、窓に水滴がつき、壁から黒ずみが出ていませんか?
それは結露によるカビの繁殖です。放っておくと天井や壁が腐食し崩れたり、何よりカビの胞子を毎日吸い込むことで、家族の健康を害し様々な病気の原因となってしまいます。

 

1. 室内に結露が発生する仕組み

結露は、室内の多湿と温められた室内温度と冷たい外気温の温度差によって起こります。冷たいコップに水滴がつくことを想像してみてください。

例えば、室温25度・湿度50%と仮定してみます。

下のグラフで見てみると、室温25度・湿度50%の黄色点が温度の低い対象物に触れることを想定して青い矢印のように行くとすると25~約14℃までは斜めの赤い曲線に触れないことがわかると思います。この赤い曲線は湿度100%を示しています。対象物の温度が14℃までは結露していない状態ということです。

この曲線に触れる赤い点(13℃)を下回ると結露します。これを露点温度といいます。

つまり、空気中に含まれる水分が13度以下の冷たいコップに触れた時に、気体から液体へと変わり結露として表面化するわけです。

マンションでいうと、玄関ドアやサッシなど外部と接する部分が温度が下がりやすく結露しやすいといえますが、駆体もコンクリートの温度が下がればそこも結露します。

 

 

2.  家全体を換気すること

下の絵のように、建物の南側に位置することが多いリビングで温められた空気が冷たい建物の北側に流れ込むと、露点温度を超え結露が起きてしまいます。

 

 

建物の中は、人間の呼吸や暖房器、加湿器の使用により水蒸気量が多くなりやすく、少しの温度変化で結露を起こしやすくなっています。これを防ぐには、定期的に換気を行い建物の中の水蒸気を外に逃がしてあげることが必要になります。

結露は自然の摂理ですから、露点温度を超えれば結露は出るので『結露が絶対に出ない』とは言えません。この点は、結露対策に取り組む上で必ず押さえておきたい点です。

3. 結露には二つの種類がある

室内に結露が発生する理由は、室内の多湿、室内温度と外気温度の差によって起こります。そして結露には、ガラスなどに発生する目に見える「表面結露」と床や壁などの内側に起こる「内部結露」の2種類があります。

壁の黒ずみは内部結露によるカビです。放っておくとカビは繁殖します。なんらかの対策が必要となりますが、例えば住宅用エコポイントなどで注目されている「内窓式二重サッシ」は室内温度と外気温度の差を無くす効果の高い製品ですが、窓の二重サッシだけでは表面結露しか解決できません。そのため、内部結露は防げず、現状のカビは繁殖してしまいます。

その場合、結露の発生を防ぎ、現状のカビを処理し、表面結露と内部結露をシャットアウトする必要が出てきます。

4. 結露を防ぐ、3つの方法

健康で安心して暮らす住まいにするには、結露の出ない、カビの出ない仕組みの室内にする必要があります。マンション専門に結露対策をしてきたToivoがお奨めするのは、 適正予算でコストを抑えて解決できる下記のような方法です。

・内外の温度差を軽減する断熱施工
・調湿効果・カビの生えない壁材・珪藻土
・住まい方(換気の仕方)

結露を防ぐこの3つの方法が根本から問題を解決します。

 

大事なことなので繰り返しお伝えします。

マンションの結露対策は結露箇所だけの施工では絶対に解決しません。

結露の特性に加え、家全体を考慮した換気状況、更に外気温からの影響を考慮することが結露対策には必要です。

このためには、マンションそのものの構造や立地条件も調査した上で、適切なプランニング、施工方法の選択、そして施工後の住まい方(のアドバイス)が必要なのです。

5. 提案する業者側にも専門性が必要

ここで、ひとつ事例をご紹介します。

 

マンションにお住まいのHS様は、ご入居当初から北側の結露とカビに悩まされていました。そこで、リフォームによってそれを解決しようと3社に見積りを依頼したそうです。

 

その3社は、共に同じようなプランを提案されたそうです。提案内容は「エコカラットという調湿性のあるタイルを外壁に面した壁全てに貼りましょう」 というものでした。

エコカラットは確かに調湿性のある材料です。その一点だけ言えば、結露対策には有効のように見えますが、実はこの提案自体に大きな間違いがあります。語弊を恐れずに言うと、専門性のなさを露呈しているといえます。

この事例からわかるように、マンションのリノベーションを行うならマンションで起きる様々な問題を理解し、その抜本的な対策を提案できる業者を選ぶ必要があるといえるでしょう。